2014年10月22日水曜日

「生きる」(1952、黒澤明)

この映画は昔みたので記憶違いがあるかも知れないが、特に、印象深いシーンは、以下の三つ。

1.志村喬と伊藤雄之助が、ダンスホールで遊んでいるとき、ふと、志村喬が、『ゴンドラの唄』を唄い出す。その唄を、突然、聞いたダンスホールでの人々が、息を飲むようにして黙り込み、志村喬を見つめる。このシーンで、カメラは、ダンスホールの内の様子を写しながら、ホールの玉ノレンを、くぐって、ホールの外へと、静かに移動していく。志村喬の『ゴンドラの唄』をBGMとして、カメラは、揺れ動く玉ノレンを写し続ける・・・

2.雪の降る夜、人気のない公園のブランコに独り乗りながら、志村喬が『ゴンドラの唄』を、つぶくやきように唄う。カメラは、その志村喬の周りを、ゆっくりと回る。
「命短し 恋せよ 乙女。 紅き唇あせぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日は ないものを」 ・・・

3.ラストシーン。帽子を深々とかぶった日守新一が遠くから、公園を見つめている。そして、とぼとぼと、歩き去って行く。冬の黄昏(たそがれ)の景色を背景として、日守新一の、その姿を、カメラは公園側から静かに写している・・・

以上、記憶違いがあるかも知れないが、このラストシーンは、実にしみじみとした余韻があった。この映画のキーワードは、(私としては)、やはり『ゴンドラの唄』(吉井勇作曲、中山晋平作曲)だな。「命短し、恋せよ 乙女」。 乙女に限らず、人生は確かに短いに違いない。

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